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アスファルト(土瀝青[1]、英: asphalt、中: 柏油)とは、原油に含まれる炭化水素類の中で最も重質のものである。日本語では土瀝青(どれきせい)や地瀝青(ちれきせい、じれきせい[2])とも呼ばれる[3]。
概要トリニダード島には瀝青が溜まっているラ=ブレア溜まり
アスファルトは瀝青材料の一つで、色は黒か暗褐色をしており、温度の高低によって液体から固体、固体から液体の状態に変化する性質があり、道路の舗装や防水剤などに使われる[4]。
アスファルトは、天然に産出される天然アスファルトと、石油からつくられる石油アスファルトがあり、現在使われているものは石油アスファルトがほとんどで、天然のものはごく少なくなっている[4]。減圧蒸留装置で作られた減圧残油はそのまま製品アスファルトとなり、ストレート・アスファルト[5]と呼ばれる[要出典]。
ストレート・アスファルトの性状を改善するため、溶剤抽出[6](溶剤脱瀝[7])や空気酸化[8](ブローン・アスファルト製造)などの処理を行うこともある。粘度の高い液体(ピッチ)であり、常温ではほとんど流動しないものが多い。ただし、常温で使用できるようにストレート・アスファルトを灯油や軽油で希釈混合させたカットバック・アスファルト[9]もあるが、日本では統計上ストレート・アスファルトに含まれている[要出典]。
なお、日本やアメリカ合衆国等では石油を精製して採れた減圧重質油をアスファルトと呼ぶのに対し、ヨーロッパではビチューメン(Bitumen = 歴青/瀝青)と呼び、このビチューメンに骨材や砂などを混合したものをアスファルト(日本ではアスファルト混合物またはアスファルト合材)と呼んでいる。したがって、ヨーロッパの技術論文を読む際には注意が必要となる。なぜこのように呼称が違ったのか不明であるが、おそらくは、アスファルトの種類が増えたことが原因ではないかと考えられる[要出典]。
トリニダード・トバゴでは純度の高いアスファルトが天然で噴出し、湖を形成するという稀なケースが見受けられる。これは、地中の原油から揮発成分が蒸発し、アスファルト分のみが残ったものと考えられる。→(ピッチ湖)[要出典]
歴史長崎市グラバー園に存在する日本最古のアスファルト道路の可能性のある道路
天然のアスファルトは瀝青(ビチューメン)と呼ばれ、古代から使用されてきた事がわかっている。紀元前3800年頃の古代メソポタミアで天然アスファルトが接着剤として用いられており[4]、紀元前3000年頃の古代エジプトでは、ミイラの防腐剤としても使用された[10][11]。旧約聖書の『創世記』では、バベルの塔の建設のためレンガの接着剤として、またノアの箱舟の防腐剤として天然アスファルトが使用されたとの記述がある[4][12]。アスファルトという単語が英語に現れたのは原油の利用が一般的になり始めた18世紀に至ってからである。このため、英語においてもギリシア語のασφαλτο?(asphaltos)からの外来語であった。a(しない)とsphalt(落とす)という意味がある。
日本では縄文時代後期後半から晩期にかけて、日本海側の秋田県や山形県、新潟県などで産出した天然アスファルトを熱して石鏃(せきぞく:石の矢じり)や骨銛(こつせん:骨のモリ)など漁具の接着、縄文後期の秋田県横手市・八木遺跡の事例として網漁に用いる石錘と漁網の接着[13]、破損した土器や土偶の補修、漆器の下塗りなどに利用された。